大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和31年(う)443号 判決

被告人 高野勝昭

〔抄 録〕

ところで、原判決が被告人に対し、領置にかかる短刀一振を没収する旨の言渡をしたことは、論旨第一点において指摘するとおりであるが、記録を調べてみるに、右短刀は所有者、即ち、その物の還付を受くべき権利を有する者が不明である。刑法第一九条第二項にいわゆる犯人以外の者に属せざるときというのは、かような還付を受くべき権利を有する者が不明であるため、これを、その者に還付することができない場合をも包含するものと解するのを相当とするのであるから、原判決が右短刀につき没収の言渡をしたとて、違法をもつて目すべき筋合ではない。所論は、刑訴法第四九九条第一項及び押収物還付公告令(昭和二八年政令第三四二号)の規定を援引して原判決の右措置を非難するけれど、これらの規定は判決において還付の言渡をした押収物の還付手続に関するものであつて、没収の言渡をした物に関する規定ではない。従つて、所論はすべて採用しがたく、該論旨は理由がない。

(中野 尾後貫 堀真)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!