大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)526号 判決

被告人 樫村之男 外一名

〔抄 録〕

論旨第一点について。

原判決挙示の証拠を綜合すると、所論において事実誤認を主張する各事実はすべて優にこれを認めることができる。論旨は被告人両名の間で授受された金員の趣旨及び被告人樫村が古滝旅館で饗応した趣旨は、高萩市制施行の際努力してくれた人々に対する謝意を表するための饗応及びその資金であつて原判示の如く大高康の当選を得る目的のものではないと主張するが、記録によると被告人樫村は大高康の当選を得る目的で櫛形炭礦の職員及び労務者等の票を纒めるため、同炭礦の会社側及び労務者側の各主だつた人々に饗応することとし被告人大都にその旨を告げ同被告人の諒承を得て両被告人間に原判示の如き金員の授受がなされ、被告人樫村は会社側と労務者側とを別々に判示の如く古滝旅館に招待して饗応したものであつて、高萩市制施行の際努力してくれた人々に対する謝意を表するためというのは表面上の理由に過ぎないことが明らかであるから、論旨は理由がない。

論旨第二点について。

記録によつて窺われる本件犯罪の動機、態様、被告人等の経歴、社会的地位その他諸般の情状に照すと、原判決の被告人等に対する量刑は相当であつて、ことに被告人樫村は昭和二十八年六月公職選挙法違反により処罰されたことが明らかであるから、たとえ現に公職に就いているとしても公職選挙法第二百五十二条第一項の規定を適用しない旨の宣告をなすことは相当でないと思料される。故に原判決の量刑は何等不当ではない。論旨は理由がない。

(大塚 渡辺辰 江碕)

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