東京高等裁判所 昭和31年(う)74号 判決
被告人 岩井理険こと孟広在
〔抄 録〕
検事の控訴趣意について。
記録を調査すると、原判決においては被告人の詐欺及び詐欺未遂の犯行を認定し、被告人を懲役一年六月に処し、未決勾留日数中百二十日を右本刑に算入し、訴訟費用は全部被告人の負担とする旨の言渡をしているが、被告人に対する勾留状、保釈決定書、勾留更新決定書、起訴状及び原審第八回公判調書(判決宣告調書)等の各記載を綜合すると、被告人が本件について勾留されていた状況は、所論のとおり本起訴事実については二十五日間、追起訴事実については原判決言渡まで八十日間であつて、両者を通じ勾留期間は百五日であることが明らかである。然らば原判決において前記のように、被告人に対し未決勾留日数中百二十日を本刑に算入する旨の言渡をしたことは、刑法第二十一条の適用による未決勾留日数の算入について、その限度を越えて算入することのできない日数を算入したものであり結局同法条の適用を誤つたものといわなければならない。而して右の誤が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、原判決はこの点において全部破棄を免れないものであつて論旨は理由がある。
(工藤 渡辺好 久永)