大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ツ)50号 判決

借家法第一条ノ二の更新拒絶についての正当の事由の有無については、家屋の賃貸人側と賃借人側との双方に存する事情を比較衡量して判断すべきで、上告人主張のように、賃貸人側の事由のみについて判断すべきではないが、それと共に、賃借人において賃料を長期間に亘つて延滞しているとか、特に背信行為が認められないというような特別の事情がないのに、賃借物を無断転貸するというようなこと、殊に両者が併存するというようなことは、賃貸借契約が賃貸人と賃借人との信任関係に基いていることと、賃料の支払がその重要な要素であることを考え合せれば、その重大な背信行為を正当付けるというような格別重大な事由がなければ一応賃貸人において契約の更新を拒む正当の事由ありと認めるを相当とする。本件の場合においては、上告人が、被上告人の先代柳田幸太郎が本件家屋を無断転貸したことと、二年四月の長期間に亘る賃料の支払を怠つたことを、賃貸借の更新拒絶の正当理由として主張しているのに、原判決は、その事実が認められるとしても、その事実のみからしては更新拒絶を拒む正当な事由にならないと判断しているのである。もつとも、原判決はこの点について更新拒絶後の事実を認定して更新拒絶の正当事由のないとすることの補足的の説明をしているようであるが、右のような更新拒絶後の事由のようなものは、特別の事情がない限り、更新拒絶の正当事由の有無については斟酌されないと解するを相当とする。

(柳川 村松 中村匡)

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