東京高等裁判所 昭和31年(ネ)1316号・昭33年(ネ)736号 判決
思うに、物権変動につき登記を経由していない場合であつても、登記の欠缺を主張する第三者が不動産登記法第四条の詐欺又は強迫に因りて登記の申請を妨げたる第三者」に該当するときは、その第三者に対しては登記がなくても物権変動を対抗しうることは右各条の規定上明らかであるところ、同条に直接該当しないときでも、第三者が公序良俗に反するしかたで物権変動についての登記の申請を妨げておきながら後に自ら該不動産を譲り受けて登記を経由し前の物権変動についての登記の欠缺を主張することは、著しく信義に反するものであるから、かかる第三者に対しては、同条を類推し登記なくして物権変動を対抗しうるものと解するのが相当である。ところが、控訴人らは不動産登記法第四条の適用又は類推適用を根拠として参加人は控訴人武夫の登記の欠缺を主張しえないと主張するのにかかわらず、その理由とするところは要するに参加人が被控訴人から本件土地を買い受けて自ら登記を経由したこと自体の不法不当をいうにすぎず、参加人においてその以前に控訴人武夫が登記の申請をしようとするのを妨げたという所為があつたことを理由とするのではないから、控訴人らの右主張はそれ自体理由がなく、その他本件訴訟にあらわれたすべての資料を精査してみても、参加人が控訴人武夫の登記の欠缺を主張しえない事由を認めることはできない。むしろ前記認定のように・参加人は、係争中の不動産であること及び被控訴人において第一審勝訴の判決を得ていることを知つて本件土地を買い受けたというにすぎないから、これより前に本件土地を買い受けた控訴人武夫の登記の欠缺を主張するにつき正当の利益があるものといわなければならない。
(川喜多 小沢 賀集)