東京高等裁判所 昭和31年(ネ)2716号 判決
控訴人らは、右転貸部分は賃借地の一部に過ぎないから、賃借地全部の賃貸借解除の理由とならず、解除の効果は転貸部分のみについて発生する、と主張しているけれども、民法第六百十二条は賃借人の背信行為に対する制裁規定と見るべきであるから、賃借人の背信行為と認めるに足りない特段の事情のあるときは格別であるが、それ以外の場合は一部を賃貸人の承諾を得ないで転貸した場合も全部につき賃貸借の解除ができるものというべきである。(昭和九年(オ)第二三〇七号、昭和十年四月二十二日大審院判決参照)。しかして本件の場合は一部の転貸が控訴人佐々木の背信行為と認めるに足らない特段の事情は認められないから、被控訴人の本件土地全部に対する賃貸借の解除は適法である。
(大江 猪俣 古原)