東京高等裁判所 昭和31年(ネ)558号 判決
前示認定の如く本件売買契約の目的中には(イ)の山林の外(ロ)の畑地も含まれているのであつて、後者については当時施行の第二次改正農地調整法第四条による許可または承認を得ていなかつたことは被控訴人の認めるところであるから、この点において右畑地に関する限り無効と解すべきであるけれども、控訴人主張の如く右両者を不可分の目的物として契約を締結した約旨であると解すべき証拠なく、かかる特段の意思表示のない本件にあつては、契約をなした経緯等諸般の事情に照らし、単にこの畑地に関する部分の無効に止るか、契約全部の無効を来たすかを判定する外はない。そして前示認定の経緯によると本件(イ)の山林と(ロ)の畑地とは、所在地番は勿論その利用目的を異にしいずれか一方だけでは契約をなした目的を達することができないというような関係にあるものでないことは明らかである。(ただ代金額については各別にきめていないが、このこと自体を以て本件契約を不可分ならしめるものということはできない。)してみると本件(イ)の山林の売買契約は、(ロ)の畑地の部の売買が無効であるに拘らず、依然有効と解さなければならない。
(斎藤 内海 坂本)