東京高等裁判所 昭和31年(ネ)783号 判決
本件土地四二坪五合を含む五三坪五合二勺の土地及び本件建物につき被控訴人及び訴訟引受人主張の仮処分決定があり、現在右仮処分が執行中であることは当事者間に争いのないところであつて、占有妨害禁止の仮処分執行中の土地建物について、相手方から該土地建物の使用禁止の仮処分を求めることは、右執行中の仮処分の効果を新仮処分によつて滅殺せんとするものであつて許されないところというべきであるから、少くとも訴訟引受人に対する控訴人の本件仮処分申請は、既に右の意味において失当たるを失わない。
なお控訴人は被控訴人に対しても本件土地建物に対する使用禁止の仮処分を求めるのであるが、被控訴人と訴訟引受人との関係は同一人格者のような間柄にあるとは控訴人自身の主張するところであつて、かかる関係にある訴訟引受人に対し、既に前記のような意味において本件仮処分申請を認容することができない以上、被控訴人に対する関係だけで控訴人申請のような仮処分命令を得たとしても、殆んど何等の意味も持たないものと認めざるを得ないだけでなく、本件地上に存する青果物その他の物件に対する仮処分をするのでなく、ただ土地建物の使用禁止だけをしたとしても、控訴人主張のバスの引返場所としての使用は到底これを為し得ないものと考えられ、控訴人の主張するバス事業経営のためには殆んど加えるところがないものと認めざるを得ないのであつて、結局被控訴人に対する控訴人の本件仮処分申請も、仮処分の必要性を欠くもとの解せざるを得ない。従つて控訴人の本件仮処分申請は、訴訟引受人に対するものも、また被控訴人に対するものも、他の争点についての判断をするまでもなく、いずれもこれを失当として却下するの外はない。
(薄根 村木 山下)