大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)931号 判決

民法第五百四十三条には、履行の全部又は一部が債務者の責に帰すべき事由によつて不能となつたときは、債権者は契約を解除することができる旨を規定していることから見れば、履行不能は当然契約を失効させるものではなく、債権者はなおこれを解除することができるものであつて、少くともこの限度において契約は依然有効であつて、当事者を拘束していることは言を俟たないところである。しかしながら、ここになお効力を有する契約の内容は、債務者について言えば本来の債務はその責に帰すべき事由による履行不能によつて、履行に代わる損害賠償債務に変更され、これに対し債権者(本件にあつては買主たる控訴人)はもとのように代金支払の債務を負うという内容に変更され、同条は主として債権者の利益のために債権者にその債務を免かれしめるために契約の解除権を認めたものであつて、契約の本来の内容は債務者の履行不能によつて変更されて存するものに過ぎないものである。従つて、控訴人の主張するような被控訴人の本来の債務は既に損害賠償債務に変更されて存するに過ぎないのであつて、本来の債務そのものを内容にする契約は現在は存在しないものといわねばならない。

(岡咲 龜山 脇屋)

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