大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ム)2号 判決

再審原告 堀部信輝

再審被告 本橋一枝 外一名

〔抄 録〕

当事者が判決確定前に再審の事由を知つた場合においては、通例、上訴によりこれを主張しなければならないのであつて、もし、これを知りながら上訴により主張することなく、判決を確定せしめるならば、爾後はその事由に基き再審の訴を提起することは許されないこととなるのである。(民事訴訟法第四百二十条第一項但書後段参照)そして再審原告は、再審の目的たる所論の確定判決に所論のような判断の遺脱あることを事由として本件再審の訴を提起したのであつて、かかる再審事由の存することは上告却下の決定の送達を受けた昭和三十一年三月一日以降これを覚知したというのであるが、所論判断の遺脱というような再審事由は、その事柄の性質上、通例判決正本の送達を受けこれを一読すれば容易に覚知しうる筈のものであるから、別段の事情のない限り、再審原告は、所論判決の正本の送達を受けた当時所論判断の遺脱のあつたことを知り得たものとなさざるを得ず、昭和三十一年三月一日までその覚知を妨げた特段の事情については何ら主張立証するところがないのである。しかも記録によれば、再審原告は右判決に対し上告をなしながら、所定の期間内に上告理由書を提出しなかつたことの故をもつて上告却下の決定をなされているのであつて、所論の再審事由は、右上告において上告理由書を提出して主張しうべかりしものであつたのである。よつて本訴はこの点において不適法として却下せらるべきものである。

(大江 草間 猪俣)

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