大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和31年(ラ)187号 決定

本件抗告の要旨は「原決定を取り消し、本件仮処分取消申立を却下するとの裁判を求める」というので、右抗告の適否について考えるに、民事訴訟法第五百四十七条に基ずく執行の停止又は取消決定については、同法第五百条第三項(これは同法第五百十二条の決定に準用される)のように不服申立を許さない旨の明文がないので、その解釈について疑問を生ずるのであるが、元来同法第五百条及び第五百十二条の決定に対して不服申立を許さないこととした法意は、これらの決定はいずれも本案判決あるまでの間の一時的応急的仮の処置としての裁判であるから、第一審裁判所がその内容を審査した上適当と認めて命じた処分は、本案判決あるまで一応これを存置せしめることとし、これに対する不服申立を拒否することにより、いたずらに争訟の複雑多岐に亘ることを避けようとする趣旨に出でたものと解すべきである。そうすると、その一時的仮の処置としての裁判である点においてこれと性質を同じくする同法第五百四十七条の決定についても全く同じことがいえるのであつて、特に同条の決定についてその明文がないことを理由として反対の解釈をなすべき根拠を見出すことができないから、同条の決定に対しても不服申立を許さないものと解さなければならない。また同条の決定は同法第五百五十八条の裁判にも該当しないものと解すべきであるから、本件抗告は不適法であつて却下を免かれない。

(岡咲 龜山 脇屋)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!