大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ラ)961号 決定

本件記録によれば、抗告人は横浜地方裁判所昭和三十一年(ヨ)第一九一号有体動産仮差押事件につき担保を供してその仮差押をなしたが、その本案訴訟たる同庁昭和三十年(ワ)第三八四号売掛金請求事件において、原告たる抗告人は仮執行宣言付勝訴判決を得、その執行力ある正本に基き前記仮差押の目的物件に対して強制執行をなし、その執行が終了したから、前記仮差押事件も終了し、従つてその担保原因が消滅したとして民事訴訟法第百十五条第三項に基き、本件担保の取消を求めたものであることが明らかである。

然しながら、債権者が仮差押のために保証を立てた場合において、本案訴訟の仮執行宣言付勝訴判決の執行により、その仮差押が本執行に移行したことのみによつては、未だ同条項にいわゆる訴訟が完結したものとは解し難い。蓋し、或る請求について執行保全のため担保を供して仮差押をなした場合において、たとえ債権者(担保義務者)が仮執行宣言付勝訴判決を得て、これにより仮差押の目的物件に対して強制執行をなしたときであつても、(仮差押はこれにより本執行に移行する。)前記仮差押によつて債務者(担保権利者)に損害を賠償すべきか否かの問題は、未だ本案訴訟の完了しないかぎり、これを決定すべき時期が到来したとはいえないから、債務者(担保権利者)はその間前記条項に基き担保取消の同意をなすべき理由がないからである。従つて同条項にいわゆる「訴訟の完結」とは本件については、仮執行宣言付判決に基く執行により仮差押事件の終了したことを指すのではなくて、本案訴訟事件の判決確定による訴訟の完結を意味するものというべきである。

(渡辺葆 牧野 野本)

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