東京高等裁判所 昭和32年(う)1560号 判決
被告人 山崎留吉
〔抄 録〕
記録を閲するに、被告人は昭和三十一年五月二十一日浦和簡易裁判所において横領罪により懲役十月に処せられ、三年間右刑の執行を猶予されると共に右期間中保護観察に付されたものであり、本件は該期間内の犯行に係るところ、原審は本件につき被告人を懲役一年に処し、四年間右刑の執行を猶予すると共に右期間中被告人を保護観察に付する旨の言渡をしたこと、いずれも所論のとおりである。ところが刑法第二十五条第二項の規定によれば、保護観察期間中更に罪を犯した者に対しては再度刑の執行を猶予することができないのであるから、原審が本件被告人に対し重ねて刑の執行を猶予したのは同法条の適用を誤つたものであり、この誤が判決に影響を及ぼすことは論を俟たないところである。よつて刑事訴訟法第三百九十七条第四百条但書に則り原判決を破棄し、更に当裁判所自ら次のように判決する。
(谷中 坂間 荒川)