大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)1709号 判決

被告人 金根洙

〔抄 録〕

然しながら不法領得の意思をもつて事実上他人の支配内に存する財物を自己の支配内に移したときは、必ずしも犯人がこれを自由に処分し得べき安全な位置に置かなくても窃盗罪は既遂となると解すべきものである(最高裁判所昭和二十三年十月二十三日第二小法廷判決同裁判所刑事判例集二巻一一号一三九六頁以下参照)ところ原判決挙示の関係証拠によれば被告人等は窃盗の目的をもつて共謀の上建設省江戸川工事事務所岡田派出所主任金子一雄が原判示江戸川堤防の斜面中腹に積み上げて保管していた築堤用レールの中十五キロのもの十二本を同所から同堤防沿に県道まで持ち運び被告人等の自動車にこれを積載し終えたものであることその他原判示第三の事実を優に認めることができ右事実によれば被告人等は既に他人の支配内に存する財物を自己の支配内に移したものと解するに十分であるから、たとえ所論の如く事件がその場で発覚し該物件をそのまま差し押えられたとしても窃盗罪は既遂となるものと言わなければならない。原判決が右事実に対し刑法第二百四十三条を適用せず、同法第二百三十五条(第六十条)を適用して処断したのは正当であつて論旨は理由がない。

(三宅 河原 遠藤)

註 破棄理由は量刑不当

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