大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)1890号 判決

被告人 五十嵐武義

〔抄 録〕

記録並びに当審における事実の取調の結果に現われた本件犯行の動機、態様、原判示第二の被害品の返還と同第一の被害の弁償、原審判決後既に一年半にわたり被告人が生業にいそしんで来たこと、今後も炭鉱夫として更生すべく固く決意していること、その他一切の事情を総合勘考すると、情状特に憫諒すべきものがあると認められるので、被告人は原判示の如く目下、刑の執行猶予期間中の身ではあるが、本件につき更に再び刑の執行を猶予すると共に、所定の保護観察に付するのが適当であると考えられる。それゆえ、この措置に出なかつた原審の量刑は当を得ないものというべく、論旨は理由があり、原判決はこの点で破棄せざるを得ない。

なお職権をもつて調査するに、被告人の原判示第一及び第二の各所為は、それぞれ刑法第二百三十五条第六十条に該当するところ、原判決は法令の適用において右第一の所為につき同法第二百三十五条第六十六条を挙示し、また右第二の所為については同法第五十条を適用したかの如く解せられる判示をしており擬律錯誤の違法あること明らかであつて、この違法が判決に影響を及ぼすこと論を俟たないから、この点においても原判決は破棄を免れない。

(谷中 坂間 司波)

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