東京高等裁判所 昭和32年(う)2092号 判決
被告人 吉村栄助こと権栄基
〔抄 録〕
原判決が、その判示事実認定の証拠の一つとして、証人望月不二子の証言を挙示していること、及び記録を調べてみても、原審において証人望月不二子を取り調べた形跡の認められないことは、いずれも所論指摘のとおりであるから、原判決には、この点につき、虚無の証拠を採つて有罪事実認定の資料として訴訟手続の法令違反があるものといわなければならない。しかしながら、原判決の挙示する各証拠のうち、右虚無の証拠を除いても、爾余の各証拠を総合することによつて原判示犯罪事実を肯認するに十分であるから、右の違反は、結局判決に影響を及ぼさないものというべく、従つて、原判決には、所論のような判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反があるものということはできない。論旨は理由がない。
(中西 山田 鈴木良)