大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2795号 判決

被告人 山下俊治

〔抄 録〕

本件控訴の趣意は、弁護人鵜沼武輝提出の控訴趣意書に記載してあるとおりであるから、これを、ここに引用する。

よつて考察するのに、原判決挙示の証拠によるときは、原判示窃盗の犯行が、被告人山下俊治直接の実行行為によるものであるということは必ずしも明らかではないが、少くとも原審相被告人倉田稔による直接の実行行為にかかることの否定できない本件犯行が、被告人山下俊治との共謀にかかるものであることは、右倉田の実行行為直後から両名逮捕に至るまでの間の両名数々の挙動に照らし、実験則上まことに明瞭であり、このような共謀の事実、殊に犯行についての所論にいわゆる意思連絡なり相互理解なりの主観的事実は、我々認識経験上の原理として、当該行為者の外形的挙動等についての証拠により間接にこれを推認し得るに充分なものあるを寧ろ一般とし、これらの証拠による右の如き共謀事実の推認にかかる犯罪事実の認定判示をもつて敢て理由を附さない違法を冒したものということはできない。以上要するに原判示事実は、原判決挙示の証拠によつて優にこれを認めることができ記録を精査するも原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認はなく、原審が被告人山下俊治に対し、刑法第六十条、第二百三十五条を適用して同被告人を窃盗の罪に問うたことは正当である。所論は要するに、原審が、事実審として、証拠の価値ないし事実の認定について事理経験の法則に従い自由に判断したところを非難するに帰し採用するに由がない。論旨はすべて理由がない。

(三宅 河原 下関)

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