大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2858号 判決

被告人 梁永泰

〔抄 録〕

論旨第一点について。

職業安定法第五条第一項は、「この法律で職業紹介とは、求人及び求職の申込を受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつ旋することをいう」との定義を掲げている。しかし求人及び求職の申込が明示的に為されることを要するとしているのではないから、暗黙の間にあつて申込と認められる意思表示が存するなら、それで十分であるといわなければならない。又同条は「求人及び求職の申込」と「雇用関係の成立あつ旋」との間に先後の順位を定め、先ず求人及び求職の申込が為されることを要し、然る後に雇用関係の成立をあつ旋するのでなければ、同条の職業紹介に該当しないものとしているのではない。たとえば求人及び求職の申込を受けるに先立つて、労働者を雇用しようとする者及び労働者になろうとする者に対し、それぞれ求人又は求職の申込を勧誘し、雇用関係の成立をあつ旋することもあり得るところで、このような勧誘に応じた求人及び求職の申込を受けることができたなら、右あつ旋行為は申込との時間的先後に拘らず職業安定法第五条の職業紹介というを妨げないものと解するのが相当である。なお同条には雇用関係が現実に成立する事を要件としていないから、あつ旋行為が雇用関係成立に及ぼした影響力、いいかえればあつ旋と雇用関係との間に因果関係がある事を要するものではない。

(加納 足立 山岸)

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