大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)966号 判決

被告人 齊藤良三

〔抄 録〕

論旨は、被告人が原判決言渡当時無職ではなかつたのに、原判決書の被告人の氏名の肩書に無職と記載したのは刑事訴訟法第一条にいわゆる事案の真相を明らかにせざる違法があり、また事実を誤認したものである、というのである。しかしながら、記録を調査すると、被告人は昭和三十一年六月下旬頃まで東京都板橋区志村前野町所在、石津工業株式会社の工員として働いていたがその後同所を辞して無職のまま日を過すうち本件犯行に及び起訴せられたものであることが明らかであるから、判決書の被告人氏名の肩書に無職と表示したのはむしろ事案の真相を明らかにしたものというべく、またかりに原判決言渡当時被告人が元勤めていた右石津工業株式会社に熔接工として勤めていたとしても、右はもとより罪となるべき事実ではないのであるから、その誤は何ら判決に影響を及ぼすものではない。畢竟論旨は理由がない。

(花輪 山本 下関)

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