大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)985号 判決

被告人 川島一一

〔抄 録〕

弁護人の論旨第二点について。

記録を調査するに原審第二回公判期日において裁判官の交替がありこれに基いて公判手続の更新をしたことは所論の指摘するとおりであるから、原判決において被告人の原審第一回公判期日における供述を証拠に援用するということは不当なことでありその供述を録取した第一回公判調書中の記載が証拠となるものであることも亦所論のとおりである。しかしながら、所論の指摘するとおり原審第二回公判調書には公判手続を更新した旨の記載があるから、これにより適法な更新手続がなされたものとしなければならないものである。従つてこれにより右第二回公判期日において第一回公判期日における被告人の供述を録取した第一回公判調書は適法な証拠調手続を了したものと推認される。それ故、原判決が証拠の標目として「被告人の第一回公判廷における供述」を掲げたことは間違つているけれども、右は被告人の第一回公判廷における供述を録取した右公判調書の記載とすべきを誤記したものと解されないわけではない。又仮に然らずとするも原判決において各原判示殺人の事実を認定する証拠の標目として掲げた証拠のうち右の証拠を除外して他の証拠によつても右殺人の事実は優にこれを肯認することができるものであるから、この瑕疵は判決に影響を及ぼすことの明らかなものとはいえないものである。それ故いずれにするも、論旨は理由がない。

(大塚 渡辺辰 江碕)

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