大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(く)16号 決定

ところで、一件記録を調べてみると、原公廷における被告人の自供及び司法警察員に対する被告人の供述調書によつて明らかなごとく、被告人は六名の大工を使用する飯場の親方であつて、その収入は月平均二万円位になり、その妻も掃除夫として月約三、四千円を貰つていて、夫婦と一男一女で普通の暮しをしていたものである。もつとも本傷害事件のため被害者に対して治療代など約五万円を支出した外被害者の父が立替えた保釈保証金二万円の負債もあつて現在の生計が楽でないことは認められるのであるが、被害者と示談を遂げ刑の執行猶予の言渡を受けて、引続き従来の業務を営んでいるのであるから、その生活の現状よりみて、原裁判所が被告人に負担を命じた訴訟費用、すなわち、国選弁護人に支給した日当及び報酬合計金四千百円を貧困のため納付することができないものとはとうてい認められない。しからば原裁判所が被告人の訴訟費用免除の申立を却下したのはまことに正当であつて、これを不服とする本件抗告は理由なきものである。

(中西 山田 石井謹)

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