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東京高等裁判所 昭和32年(や)10号・昭32年(や)9号 決定

請求人 田中末治郎 佐々木武市

〔抄 録〕

本件請求の理由は、末尾添附の請求人代理人弁護士関原勇、林百郎、柴田睦夫共同作成名義の費用補償請求書記載のとおりである。

よつて右請求人等に対する公務執行妨害、傷害被告事件記録を調査すれば、請求人等は右被告事件につき昭和三〇年四月一日第一審長野地方裁判所上田支部において無罪判決の言渡をうけたが、これに対し原審検察官から控訴の申立があつたので、当裁判所に係属審理の結果昭和三二年一一月二六日控訴棄却の判決が言渡され、この判決は同年一二月一〇日の経過とともに確定したことが明らかである。

しからば、右被告事件の被告人であつた請求人等に対しては刑事訴訟法第三六八条によつて、控訴審において生じた費用の補償を為すべきものとする。

而して、補償すべき費用の範囲は同法第三六九条により被告人であつた請求人等及びその弁護人であつた者等が公判準備期日並びに公判期日に出頭するに要した旅費、日当、宿泊料及び弁護人であつた者に対する報酬であるところ、右記録によれば、請求人田中末治郎、同佐々木武市及びその弁護人等が右被告事件控訴審公判期日及び公判準備である現場長野県南佐久郡臼田町大字常和の検証並びに同所公民館において行われた証人尋問同県同郡浅間町所在長野地方裁判所岩村田支部において行われた証人尋問、各期日に夫々出頭した詳細は別表甲のとおりである。

そこで、右検証、証人尋問期日及び公判期日に出頭した請求人弁護人等の旅費、日当、宿泊料並びに弁護人に対する報酬の額につき、裁判所書記官遠藤工に命じて計算させた結果は別表乙記載のとおりである。

従つて、請求人等に対しては各被告人として右各期日に出頭した旅費、日当、宿泊料として、請求人田中末治郎には金二〇、七五〇円を、同佐々木武市には金一七、九一〇円を夫々補償交付すべく、次に弁護人等の同じ旅費、日当、宿泊料及び報酬については、弁護士柴田睦夫、同林百郎、同大塚一夫、同島田正雄の四名は請求人田中末治郎の弁護人であつた外、右被告事件控訴審において被告人大塚辰紀、同大塚武久、同大塚政太、同佐藤安正の弁護人(五被告人の弁護人となる。)でもあり、又弁護士関原勇は請求人田中末治郎、同佐々木武市の弁護人であつた外、右被告人大塚辰紀、同大塚武久、同大塚政太、同佐藤安正の弁護人(六被告人の弁護人となる。)でもあつたのであるから、柴田、林、大塚、島田各弁護人の旅費、日当、宿泊料及び報酬についてはその額の合計金一四〇、二四〇円はこれを五等分したその一つである金二八、〇四八円を請求人田中末治郎に、関原弁護人の旅費、日当、宿泊料及び報酬についてはその額の合計金六〇、〇六〇円はこれを六等分したその一つである金一〇、〇一〇円を夫々請求人田中末治郎、並びに同佐々木武市に補償交付すべきものとする。

以上のとおりで、請求人田中末治郎には右三口合計金五八、八〇八円を、同佐々木武市には右二口合計金二七、九二〇円を各交付すべく、本件請求は右範囲内において許容すべきものとして、刑事訴訟法第三七〇条により、主文のとおり決定する。

(山本 渡辺 石井)

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