大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ネ)2095号 判決

ところで、証拠を総合すると、本件家屋はもと和風であつたのを被控訴人が買い受けて後相当多額の費用を投じて洋風に改修したものであること及び右時価はこの改修後の家屋の時価であることが認められ、そして、控訴人はこの時価の評価を不当とし、その時価は改修前の家屋によつて評価さるべきものであると主張するから、その当否について按ずるに、借地法第十条は国民経済の見地から既存の家屋の存続を図るとともに、私経済の見地からその家屋を譲り受けた者の利益も可及的にこれを保護せんとする趣旨に出たものであるから、借地上の家屋を借地権とともに譲り受けた者がこれに改修を加え、これを旧に復するときは著しく家屋を毀損し又は改修費の大部分が無益に帰するというような場合には、その譲受人は敷地の賃貸人に対し譲受家屋を改修を加えた現状の時価で買い取るべきことを請求しうるものと解するのが相当である。しかして、和風の家屋を洋風に改修したような場合における改修部分の分離は、反証のない限り、家屋自体を著しく毀損するとともに、改修費の大部分を無益に帰せしめるものと推定すべきであるから、本件家屋の時価は被控訴人が改修を加えた現状によつて評価するのが正当である。

(岡咲 田中 土井)

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