大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ネ)2428号 判決

一、控訴人は罹災都市借地借家臨時処理法に基き設定せられた賃借権については借地法第六条の規定による更新を認むべきではないと反論するけれども右処理法は第五条において同法第二条により設定せられた賃借権の存続期間につき借地法第二条の適用を除外することを定める外他に右賃借権につき借地法の適用を除外する趣旨の規定を設けていないから借地法第六条の規定は右の賃借権についても当然適用せられるものと解すべきである。右処理法が控訴人のいう如き臨時的立法であるからといつて反対に解すべき理由はない。

二、借地法第六条第二項によれば土地所有者である控訴人において自らその土地を使用する場合その他正当の事由がある場合でなければ異議を述べてもその効果を生じないものと解すべきであるから本件において控訴人に右に所謂正当の事由があるか否かについて更に考えてみるに、原審における控訴本人尋問の結果によれば、控訴人は別紙目録記載の宅地六十坪八勺の内被控訴人が使用している約十五坪を除いた土地の上に木造スレート瓦葺二階建住居一棟建坪十九坪二階七坪を所有して妻子と使用人を合せ八名と共に居住し建築請負業を営んでいる関係上居住に窮屈でもあり又かねてから本件土地の明渡を受けて同土地に作業場を設けたい意向を有していることを認めうるのであるが、一方原審における被控訴本人尋問の結果によれば、被控訴人は罹災直后の昭和二十年六月頃本件建物を建築して爾来これに居住し昭和三十二年十月当時妻子六名を抱え月収は家族の分も併せ約二万円程度で到底他に住宅を求めうるだけの経済的余裕はなかつたものと認められるのであつて、これら当事者双方の事情をかれこれ綜合すれば、昭和三十二年十月当時において土地所有者である控訴人が被控訴人に対し本件土地の使用継続につき異議を述べるにつき正当の事由があつたものとは未だ認め難いのである。

(奥田 岸上 下関)

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