大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ネ)292号 判決

次に控訴人主張の特別事情の存否について考えてみるのに、本件仮処分の執行後である昭和三一年九月一四日に執行吏が撮影した本件建物二階部分の写真であることについて当事者間に争いのない乙第三号証の一ないし六に控訴本人の原審並に当審供述を総合すれば、控訴人は、本件仮処分執行の結果、本件建物二階部分について屋根葺工事の完成をみただけで、その他大半の改築工事が未完成のまま放置するのやむなきに至つたため、右二階部分は、何分日本海に面した新潟地方でもあり、相当程度の風雨や雪が侵入する現状にあつて、窮境にあることが認められる。そしてこの事実に、本件仮処分の被保全権利である建物収去土地明渡の請求権は、結局金銭補償によつてその終局の目的を達し得るものであり、またその執行も、右改築工事を続行せしめたとしてもそれ程多くの困難さを加えるものでもないことを併せ考えれば、本件は控訴人側の土地不法占拠に相当強引なものがあること前認定の通りではあるが、本件仮処分中二階部分の改築その他の工事禁止を命じた部分は、控訴人に保証を立てしめて仮処分を取り消すべき特別の事情があるものと認めるのが相当である。

(薄根 奥野 山下)

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