大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ラ)391号 決定

本件抗告理由の要旨は、株式会社愛三商店は、前記公正証書記載の債権を昭和三二年五月二五日鈴木堅次郎に譲渡し、右競売期日にはすでに右債権を失つていたのであるから、原決定は違法であるというのである。

しかしながら、債権者が債務名義表示の債権を他へ譲渡したことは、民事訴訟法第六百七十二条第一号に所謂強制執行を許すべからざること又は執行を続行すべからざることのいずれにも該当しないものと解するを相当とする。何となれば、執行裁判所は原則として実体権の有無を審査することができないのであつて、これを争うには請求に関する異議の訴等他の方法によるべきだからである。本件において、前記公正証書の執行力が請求異議の訴により排除されたこと、または本件強制執行手続の停止の命令がなされたこと等を認めるべき資料は何もないから、抗告人主張の債権譲渡の有無にかかわりなく、原裁判所が競売手続を続行し競落許可決定をしたのは、もとより正当であつて何ら違法ではない。

(奥田 牧野 青山)

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