大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ラ)511号 決定

民事訴訟法第三十二条第二項は、移送の裁判確定したときは、事件の移送を受けた裁判所は、事件の移送をなした裁判所が当該裁判においてなした移送原因、管轄権の有無等に関する判断に拘束せられ、これと異なる意見の下に、これを更に他の裁判所に移送することを禁止した規定である。何となればもし移送を受けた裁判所が同一理由にもとずき更に移送をなすことをうべきものとするときは、訴訟の移送は何回にても行われることとなり、訴訟の遅延を免れ難いからである。したがつて右規定は移送を受けた裁判所が他の事由にもとずいて、これを他の裁判所に移送することは敢てこれを禁止しない趣旨であると解すべきである。ひるがえつてこれを本件記録につき調査するに、東京簡易裁判所は本売掛代金請求事件はその管轄に属せず、東京中野簡易裁判所の管轄に属することを理由に昭和二十九年六月七日これを同裁判所に移送する旨の裁判をなし、右裁判は確定したところ、右東京中野簡易裁判所は民事訴訟法第三十一条の二の規定により同裁判所を管轄する東京地方裁判所に移送するを適当と認め本件移送の裁判をなしたこと明かであつて、前者の移送の裁判は同法第三十条の管轄違を原因とし、後者のそれは、これと異なる前記第三十一条の二に定めた事由を原因とするのであるから、前記説明するところに徴し、後者の移送の裁判すなわち本件移送の裁判が同法第三十二条第二項に違反するものとはいい難い。

(渡辺葆 牧野 青山)

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