大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和32年(ラ)66号 決定

本件抵当権につき、抗告人が抗告理由中に指摘する予告登記のなされていることは、その提出の登記簿謄本(記録二八三丁裏参照)によつて明らかである。

しかし予告登記は、登記原因の無効または取消による登記の抹消または回復の訴が提起された場合に、登記に信頼する一般第三者に不測の損失の及ばんことを防止するため、これら第三者に警告を与える目的で受訴裁判所の嘱託に基ずいてなされる登記であつて、単にかかる訴訟提起の事実を公示するに止まり、この登記ある事は、必ずしも訴訟提起の理由たる登記原因の無効取消の事実が真正に存在するとの推定を生ずるものでなく、従つて本件抵当権の登記抹消請求の訴が提起され、その旨の予告登記がなされているにしても、このこと自体は何等右抵当権実行による競売手続を許すべからざること、ないしは競売を続行すべからざる事由となり得ないことは勿論、抗告人の主張する如く「競売記録上右予告登記のあつた事実を一般に知らしめる措置を講ずべき」ことを、手続上要請せられているという根拠は何もないのであるから、かかる措置を講ぜずに競売を続行したとしても、何等の違法はない。この主張も採用できない。

(斎藤 坂本 小沢)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!