大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和33年(う)1476号 判決

被告人 江上光雄

〔抄 録〕

所論は要するに、原判決が日本専売公社の輸入販売する以外の外国たばこにつきその追徴額を決定するにあたり昭和三十年十一月八日付同公社販売部長通達第八六六号によりその額の算定をしたことは法律の解釈適用を誤つたものである。

右製造たばこについては公権的に定められた価額はなく、取引当事者間において取引時に決められた価額すなわち取引額があつたのであるから、この価額をもつて追徴すべきであると主張する。

しかし、たばこ専売法第七十五条は、犯則物件またはこれに代るべき価額が犯則者の手に存することを禁止するとともに、国が、たばこの専売を独専し、もつて国の財政収入を確保するためとくに、必要没収、必要追徴の規定を設け、不正たばこの販売などの取締を励行しようとする趣旨であると解せられるから、同法第七十五条第二項にいわゆるその価額の追徴とは、現実の取引違反の価額の如何にかかわらず、その物件の客観的に適正な価額の追徴を意味し、当該物件が日本専売公社によつて定価の公示された製造たばこ(輸入製造たばこを含む)にあたると認められるものについては、その価格により、公示された定価のないものについては、客観的に適正と認められる価額によるとするのを相当とする。(最高裁判所昭和二十九年(あ)第二六五七号、同三十一年十二月二十八日第二小法廷判決、最高裁判所判例集第十巻第十二号一八一一頁参照)ところ、原審における証人加藤正平の供述によれば、日本専売公社の輸入、販売する以外の外国産製造たばこに関する所論販売部長通達に掲げられた評価格なるものは右外国産製造たばこの生産地又は仕入地における原価に、荷造費、運送賃、保険料その他輸入地に到着するまでの諸費及び輸入税に相当する専売益金の金額を加えて決めたものであることが認められ、右のような評価格の決め方は、これを、公社の委託又は許可を受けないで製造たばこを輸入した場合について規定したたばこ専売法第七十二条第三項に定められたその製造たばこの価額の算定方法との対照上からもまことに相当であると認められるから、前記販売部長通達所掲の評価格は、本件の所論外国産製造たばこについての客観的に適正と認められる価額にあたるものということができる。然らば、たばこ専売法第七十五条第三項の価額の追徴の解釈適用につき右と同趣旨に出たと認められる原判決の法律の適用は正当であつて、この点につき、原判決には所論のような法令の解釈適用につき違法の廉はない。所論はたばこ専売法第七十五条第三項にいわゆる価額の解釈に対する独自の見解に基く主張であつて採用することができない。それ故論旨は理由がない。

(長谷川 白河 関)

註 本件は他の理由により破棄

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!