東京高等裁判所 昭和33年(う)1549号 判決
被告人 内田登 外一名
〔抄 録〕
依光弁護人の控訴の趣意について。
原判決が証拠として挙げている被告人両名の検察官に対する各供述調書を検討すると、原判示の村正商会は、内部的には被告人中山において営業資金を出資し、機械の製造販売その他経営に関する一般的事務を総括していたのであるが、その営業名義人は被告人内田であり、税務署に対しても被告人内田の営業として届出をし、且つ同被告人も同商会の業務に従事していたことが明らかである。してみれば同商会の経営に関する被告人両名の内部的関係の如何にかかわらず、被告人内田は原判示の物品製造に関し物品税法第四条、第八条に定める製造者に該当し、同法所定の申告及び納税の義務を負うものといわなければならない。原判決のこの点に関する認定は、右と同趣旨の事実を認定したものであること、その判文上明白であるから、原判決には論旨第一点及第二点に主張するような事実誤認及び理由くいちがいの違法はない。
また右各証拠によれば原判示第二の所為は被告人両名の協議に基くものであることが明瞭であるから、両名がいずれも共同正犯としての刑責を負わなければならないことはもちろんであり、なお、たとえ両名の内部関係が所論のように命令服従の関係にあつたとしても、その一事のみによつて被告人内田の本件行為が期待可能性を欠くものとは到底認められない。それ故原判決には論旨第三点に主張するような法令適用の誤もない。論旨はすべて理由がない。
栗田弁護人の控訴趣意について。
論旨第一点は原判決に理由不備又は理由くいちがいの違法があるという趣旨と解せられるが、記録を調査し原判決に挙示する各証拠を検討すると、発送原票綴(東京高等裁判所昭和三十三年押第五六九号の六)のうち、昭和二十八年九月から昭和二十九年一月までの分として右原票に記載されている機械台数は、名古屋市の村正商会本店から東京支店あてに移出送付されたものと、東京支店から名古屋市の右本店へ修理のため返送されたものの数量であり、右原票に記載されているもののうち、いずれが東京あてに発送されたものであり、いずれが名古屋に返送された分に該当するかは明瞭ではないが、原審証人美那川辰之助の証言によれば、毎月名古屋から東京あてに発送された数量の約五割程度のものが名古屋に返送された事実が明らかであるから、右原票記載の各月の総数量を三分し、その二を東京あてに発送された数量、その一を名古屋あてに返送された数量と認めるのが相当である。それ故右基準に従い、昭和二十八年九月から翌二十九年一月までの間、毎月名古屋市村正商会の製造工場から東京あてに移出されたパチンコ機械の数量を算出すると原判決に認定したとおりの数量となるから、原判決には所論のような理由不備又は理由くいちがいの違法はない。
(滝沢 久永 八田)