東京高等裁判所 昭和33年(う)1969号 判決
被告人 山本長次
〔抄 録〕
所論によれば被告人には原判示の如き殺意は全然存在しなかつた旨主張するのであるが、原判決挙示の証拠のうち被告人の司法警察員に対する第一、二回供述調書、被告人の検察官に対する第一、二回供述調書の各供述記載及び押収にかかるビール壜の口元一個(昭和三三年押第七二一号の二)の存在を綜合すれば、被告人が原判示の如き前記ビール壜の口元部分をもつて、原判示田村増雄の前頸部附近を目がけて力をこめて突き刺すに際し、同人が死に至るかも知れないことを予見し且つこれを容認していたものすなわち未必的の殺意を有していたものであることは充分にこれを看取することができるのであつて、所論は独自の見解と謂うの外なく到底採用し難い。
(山本謹 渡辺好 石井)