大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)2048号 判決

被告人 増島平一郎

〔抄 録〕

第二点について。

原判示第二の事実につき挙示引用の各証拠を総合すれば、被告人は昭和二十七年九月二十五日被告人の義兄にあたる小林茂雄を介して渡辺孫七から金三十五万円の出捐を得たので、同人のため被告人振出受取人渡辺博子(被告人の妻)額面三十五万円支払期日同年十月二十五日その他の手形要件を記載した約束手形一通を振り出し、同時に右の支払を担保するため右手形金三十五万円が期日に支払われないときは右土地建物を譲渡する旨の契約をなし、同人をして原判示のように所有権移転請求権保全の仮登記をなさしめたことを認めるに足り、これにより被告人が本件土地建物につきいわゆる不法領得の意思を発現しもつてこれを横領したことが明らかである。被告人が渡辺博子に対し手形債務を負担した事実なく、したがつて同人のため本件土地建物につきなした担保契約ならびにこれに基く所有権移転請求権保全の仮登記等すべてその効なく本件土地建物につき法律上有効な処分行為があつたとは言えないとして横領罪の成立を否定しその他原判決に理由不備の違法があると主張する論旨のいずれも理由がないことはいうまでもない。

(加納 足立 山岸)

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