大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)2054号 判決

被告人 国際ウインド株式会社

〔抄 録〕

被告会社の実体が社長田中博の同族会社であり、会社形態を備えた個人商社で、会社の経理と田中家の経済と混同され、その帳簿を完備していない状況にあつたとの所論事実は認め得ないわけではない。しかし仮にそうした事情のため社長の田中博及び取締役たる田中美代子が被告会社から給与を受けずその代りとして田中家の生活費を会社の売上金より支出したり又使用人の食費その他給与に代るべき支出していた事実があつたとしても、被告会社が多年に亘りそうして来たことは、それが被告会社にも又社長たる田中博にも有利となる事情があつたからであると推認され、今や右の如き諸経費が会社帳簿上脱落していたからといつてそれに伴う不利益も被告会社としては甘愛すべき性質のものというべく、本件法人税法違反事実の情状としてさほど重大視すべきではない。又被告会社が本件の如き逋脱行為をしたことが同会社の顧問税理士であつた大久保正次にも責任があるとの点については、細い帳簿上の操作などについては大久保正次の関与していることが認め得ないではないが、それが全く大久保の独断専行に出たものとは認められず、被告会社が大久保と相識る以前から取得財産を帳簿に計上せず利益をひたかくしにして来たことがその主たる原因と認められ、これを大久保に転嫁せんとするのは失当である。しかして本件違反は昭和二十六年事業年度における所得金額五百四十万二千五百五十八円を十五万七千百六十八円の欠損として虚偽の申告を為し正規の法人税二百二十六万九千五十円を逋脱したというのであつて、その態様に徴しても被告会社社長田中博に対する罰金七十万円の外に被告会社に対しても罰金八十万円を科した原判決の量刑が不当とは認められない。被告会社が本件起訴後営業不振中に不動産の処分や借入金等により、逋脱にかかる本税の外加算税、利子税、延滞利子税合計四百三十六万九千六百九十円を完納した事実その他所論情状は原判決に十分斟酌されたものというべきで論旨は理由がない

(足立 山岸 位野木)

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