大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)2612号 判決

被告人 羽田武夫

〔抄 録〕

原判決挙示の証拠によれば、山本一男が被告人に原判示第三の現金二万円を渡した際、山本としてはそれが全額高橋晴源湯川重吉に渡すべきものとしていたのではなく、適宜被告人の情勢判断により、高橋、湯川に供与すべき金額を決定するよう被告人に一任していたものであり、被告人においても右山本の真意を諒承し、自己の方寸に基いて山本から渡された二万円の中一万円のみを高橋、湯川両名に供与していることを認めるに足るし、このように被告人がその受取つた金額の中どれだけを高橋らに渡すべきかについて自己の裁量に一任され右裁量に基きその一部を自己の手中に収め残部のみを他に渡しているときは公職選挙法第二百二十一条第一項第四号の供与を受けた罪と、同項第一号の供与した罪との二罪が成立し、同条第五号の交付を受けた罪が成立するに止まるものではない。なるほど山本一男は「高橋、湯川に一万円宛やろうか」と云いつつ計二万円を被告人に手交したと供述している部分がないわけではない。しかしそれは山本の口先きだけの事で、同人の真意は前記認定のとおりなのである。してみれば、被告人が山本から受け取つた原判示第三の現金二万円については同項第五号の罪でなく第四号の供与を受けた罪が成立すべく、これと同一趣旨に出た原判決はもとより正当であつて論旨は理由がない。

(足立 堀 山岸)

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