大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)432号 判決

被告人 小松茂伸

〔抄 録〕

論旨は、原判示第二の事実につき、原判決は法令の解釈適用を誤り又は判決に理由を附さない違法がある、と主張するものである。しかしながら、被告人が浅野まつの長男忠夫に対し原判示のごとく申し向けて同人の身体、財産等に対し害悪を加うべき気勢を示して脅迫した原判示第二の前段の所為と、被告人が中島智之と共謀の上右忠夫に対し交々原判示のごとく申し向け若しこの要求に応じなければ暴力さえも加えかねない態度を示して同人を脅迫し、同人をして畏怖の余り、その場で現金千円を交付させてこれを受領した同後段の所為との間に、たとえ所論のごとく、前者は被告人単独、後者は被告人と中島智之との共謀にかかるものであり、かつ両者との間には三日期間があつたとしても、右は被告人が原判示第一の浅野まつ方における暴行に際し、小林二三男に傷害を負わされたことを種に金員を喝取しようと企てた一連の行為であつて、前記浅野忠夫に対する前後二回にわたる脅迫行為によつてついに同人を畏怖せしめて現金千円を交付させてこれを喝取したものであるから、原判決認定のとおり、これを恐喝既遂の一罪と認むべきことはもより当然というべく、所論のごとく、前段の所為と後段の所為とは数罪の関係に立ち、前者は恐喝未遂、後者は恐喝既遂をもつて問疑すべきものとなすことはできない。原判決には所論のごとき法令の解釈適用を誤り又は理由不備の違法は何ら存しない。論旨は理由がない。

同第二点について。

論旨は、原判示第二の事実につき、若しその前段の所為を恐喝未遂と解し得ないときは、むしろ後段の恐喝行為中に包含して一行為一罪として処断すべきものである、と主張し、原判決には法令の解釈適用を誤り又は理由不備の違法があるというのであるが、前段説示のとおり、本件被告人の所為は前後二回にわたる脅迫行為による恐喝既遂の一罪と認むべきであるから、所論のごとく、前段の所為を後段の所為に包含せしめてこれを不問に付することはできないのであつて、原判決の認定並びにその法律の解釈適用には何らの誤りも存しない。ひつきよう、所論は採用し難く、論旨は理由がない。

(坂井 山本長 荒川)

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