大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)575号 判決

被告人 金永哲

〔抄 録〕

職権をもつて調査するに、原判決は、(一)被告人の原判示第一第二の窃盗事実を認定し、刑法第二三五条第六〇条にあたるとし、更に昭和二七年六月二七日原裁判所で窃盗罪により懲役八月に処せられた前科があるから同法第五六条第五七条により累犯加重をなし、なお同法第四五条前段第四七条第一〇条(第一の罪の刑選択)を適用した旨摘示しただけで、被告人を懲役一〇月に処していることが認められる。しかしながら、再犯加重をするには刑法第五六条所定の要件を充足しなければならないのである。同条によれば懲役に処せられたものがその執行を終り又は執行の免除ありたる日より五年内に更に罪を犯し有期の懲役に処すべきときでなければならないから、単に原判決のように懲役刑に処せられたことがあるというだけでは足りないのであつて、その刑の執行を終つたかどうかが明らかでないのに累犯加重をした原判決は理由不備の違法がある。(二)また前科及び受刑の事実は証拠によつて認定されなければならないことが明らかであるのに、原判決はこの点に関する証拠を挙示していないし、これまた前同様の違法がある。(三)更にまた原判決は原判示第一第二の窃盗罪に対しそれぞれ再犯加重をなし右二罪は刑法第四五条前段の併合罪であるとし、同法第四七条第一〇条を適用し併合罪の加重をしているのであるから、その長期は三〇年となり、当然同法第一四条の制限を施した上で刑の量定をしなければならないのに、右第一四条の制限をしないのは法令の適用を誤りその誤が判決に影響を及ぼすこと明らかである。要するに原判決には以上のような違法があるので破棄を免れない。

(大塚 本田 渡辺辰)

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