大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)584号 判決

被告人 保田芳美

〔抄 録〕

原判決は判示第六及び第九の事実認定の補強証拠として遠山正松作成名義の被害届を挙示しているが、記録を調査してみると、遠山正松作成名義の被害届と題する書面は判示第六の事実に関する補強証拠であつて、判示第九の事実には関係がなく、その他判示第九の事実に関する証拠としては被告人の自白の外何等補強証拠を挙示していない。尤も判示第九の事実の被害者と判示第六の事実の被害者はいずれも遠山正松であり、同人からは右被害届と題する書面の外盗難被害届(万引)と題する書面が提出されているが、原判決は判示第一乃至第五の事実認定の補強証拠として桐ケ谷長吉作成名義の被害届五通と記載しているに拘らず、判示第六及び第九の事実認定の証拠としては単に遠山正松作成名義の被害届と記載してあるだけで何通とも記載してないし、遠山正松からは前記のように被害届と題する書面と盗難被害届(万引)と題する書面が、提出されているに拘らず原判決には単に被害届と記載してあるだけであるから、原判決は遠山正松作成名義の盗難被害届(万引)と題する書面を含めた被害届二通を挙示した趣旨とは認められない。然らば原判決は判示第九の事実を認定するに当り被告人の自白のみによつて認定したもので、刑事訴訟法第三百十九条第二項の規定に違反し、右法令違反は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、論旨は結局理由があるに帰する。

(大塚 本田 渡辺辰)

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