大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)722号 判決

被告人 田坂靖夫

〔抄 録〕

控訴趣意第一点について。

所論は、原判決はその理由にくいちがいがあるとし、その罪となるべき事実中「被告人は、……同年十一月一日真田方に赴き返金方督促し、同市内太平洋パチンコ店なる被告人まで来るように申入れたけれど……」とある点、ならびに「被告人は、真田方に到り奥茶の間で同人に対し、『なんだこの野郎、おれを何だと思う、みたことがないか。』と怒号し……」とある点は、原判決の掲げた証拠によつてこれを認めることができないと主張するが、右事実は原判決所掲の真田達美の検事に対する供述調書によりこれを認めることができるから論旨は理由がない。(所論は誤つて右調書の存在を見落したものと思われる。)次に、原判決はその事実摘示冒頭において「被告人は、……金二万円を必要としたので……」と判示しているが、原判決の掲げた被告人の原審公判廷における供述によれば「約二万円ぐらいを必要としたので……」と認定すべきで、右金額を二万円に限定して認定した点は粗雑に過ぎると非難する。なるほどこの点所論の非難は誤つてはいないが、「約二万円」と単なる「二万円」との事実の相違は犯罪の成立、刑の量定等何ら判決に影響を及ぼす性質のものではないから、かような些々たる点についての事実理由と証拠理由とのくいちがいは、刑事訴訟法第三七八条第四号にいわゆる判決の理由のくいちがいがある場合に当らない。したがつて右論旨もまた理由がない。

(加納 足立 山岸)

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