東京高等裁判所 昭和33年(ウ)161号 決定 1958年5月13日
申立人 国
相手方 中央労働委員会
主文
東京地方裁判所が、同庁昭和三一年(行モ)第一五号緊急命令申立事件について、昭和三十二年二月十四日兵庫県知事阪本勝に対してなした緊急命令は、これを取り消す。
理由
緊急命令取消申立人は主文同旨の裁判を求め、その理由として次のとおり主張した。すなわち、
兵庫県知事阪本勝は、東京地方裁判所が同庁昭和三一年(行モ)第一五号緊急命令申立事件について昭和三十二年二月十四日同知事に対してなした緊急命令に従い、申立外大倉輝夫及び塩崎広の両名に対し命令所定の給与相当額の金員を支払つてきた。しかるに、右両名の勤務先である神戸補給廠は昭和三十二年六月末日を以て、すでに閉鎖せられ右両名が復帰すべき原職は存在しないし、且つ同年十月末日までに右両名と同じ職種にあつて同施設に勤務していた駐留軍労務者は人員整理によつて全員解雇され一名も在籍しないこととなつたので、申立人は右両名に対しても昭和三十三年一月二十八日附文書を以て同年二月二十八日限り予備的に解雇する旨の意思表示をなした。従つて申立人は東京地方裁判所がなした前記緊急命令を履行することができなくなつたので、これが取消を求めるため本件申立に及んだ。
よつて按ずるに、東京地方裁判所が同庁昭和三一年(行モ)第一五号緊急命令申立事件について、昭和三十二年二月十四日兵庫県知事阪本勝に対してなした本件緊急命令は、事情の変更により、もはやこれを維持する必要をみなくなつたものと認められるので、これを取り消すのを相当と認め、労働組合法第二七条第七項を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 村松俊夫 伊藤顕信 小河八十次)
【参考資料】
緊急命令申立事件
(東京地方昭和三一年(行モ)第一五号昭和三二年二月一四日決定)
申立人 中央労働委員会
被申立人 兵庫県知事
主文
被申立人は申立人が被申立人に対してなした中労委昭和二十九年(不再)第四十三号不当労働行為事件の命令に従い、昭和二十八年十一月十日申立人塩崎広、同大倉輝夫に対してなした解雇通知を取消し、原職に復帰せしめ、且つ昭和三十二年二月一日から原職復帰に至るまでの間に、右申立人等が受ける筈であつた給与相当額を右申立人等にそれぞれ支給せよ。
(裁判官 西川美数 大塚正夫 好美清光)