東京高等裁判所 昭和33年(ネ)1072号 判決
そこで慰藉料の額につき考えるのに、控訴人任と被控訴人との同棲生活は約八ケ月であり、被控訴人が控訴人任の子を懐姙し、昭和三一年二月三日女児ゆう子を分娩したことは当事者間に争いがなく、また原審における被控訴人本人の尋問の結果によれば、現に被控訴人は実家において右ゆう子を自己の膝下で養育しており、その養育費は昭和三三年当時で月約三、〇〇〇円であり、かつ将来も引続きその養育をする考えであることが認められ、また証拠によると、被控訴人は昭和二三年三月一八日茨城県立石岡第二高等学校(旧制高女)を普通の成績で卒業し、その後は家業の農業の手伝い等をしていたこと、および被控訴人にとつては本件婚姻予約が事実上の初婚であることが認められ、他方、成立に争いのない甲第五号証に当審における控訴人本人任の尋問の結果を合せ考えると、控訴人任の父である控訴人祥介はもと警察官であつたが終戦後退職し、控訴人任が農業学校を卒業すると同時に農業に従事し、払下げを受けた農地三町二反歩その他神竜開拓農業協同組合所有の農地を耕作しており、その年収は約三、四〇万円程度であるが、右農業は控訴人任が主体となつて営んでいることが認められる。右認定を左右すべき証拠はない。右認定の事実から考えると、その慰藉料の額は金三〇万円が相当であると認められる。
(角村 菊池 吉田)