大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(ネ)2097号 判決

次に問題はこれを控訴人主張のような一時使用の借地関係と認むべきか否かである。前示甲第四号証の文言自体は「仮住宅の建築」といい、また「控訴人が必要な場合は何時たりとも即時何等異議なく除却」といい、この文言自体からすれば如何にも一時使用のための借地権の設定なるかの観がないでもない。しかし借地法第九条にいう臨時設備その他一時使用のための借地権と認めるがためには、借地契約書にその旨の記載があるだけで足るものではなく、事実においても、地上建物の構造、その使用目的、態様その他当事者双方の諸般の事情からみて、これを一時使用の借地関係と認めるのを相当とすべき事情の存することが必要である(若し然らずとすれば、借地期間等に関する規定を強行規定とした借地法の趣旨は殆んど意味のないこととなるであろう)。そしてこれを本件についてみるのに、本件借地契約にあつては、その借主である被控訴人の側からいえば、罹災前の居住家屋(借家)の敷地とその隣地とに亘つて住家を建築するための借地である以外には何等特別の事情もこれを認め難いのであり、またこれを貸主の側である控訴人の側からみても、控訴人としては右土地について右契約の当時において何等具体的な使用の計画を持つていたものでもなく、右土地の貸借を特に臨時的一時使用のものとすべき事情は何等存しなかつたもの(このことは前認定の控訴人が右土地の借地権を被控訴人に譲渡する意図があつたとの点からみても明か)であつて、ただその契約書の文言が前記のようにせられたにすぎないのであり、しかもその裏付となるべき合理的事情は何等これを認めることができないのであるから、本件借地契約は、右契約書の文言にも拘らず、これを一時使用のための賃貸借ではなく、普通建物所有のための賃貸借と認めるのが相当である。

(薄根 村木 山下)

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