大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(ネ)868号 判決

この場合に会社から社宅を与えるという用語には多少あいまいな点があるけれども、前掲各証拠によれば、被控訴会社においては会社に功労のあつた労働者に対しても家屋を贈与した例はなく、控訴人の場合も、同人が会社のため功労があつたとはいえ、当事者は本訴建物を控訴人に贈与することを契約したものではなく、従業員の福利厚生施設としての社宅を控訴人の在職中に限りこれに使用させる趣旨で貸与したものであり、被控訴会社は修繕費を負担し、賃料、使用料等は徴収せず、ただ建物の固定資産税及び敷地の地代だけを借主である控訴人の負担と定め、控訴人は右地代を直接土地賃借人に支払つていたものであることを認めることができる。右認定に反する原審証人上田正、同古館美津子、当審証人高橋辰雄の各証言並びに原審及び当審における控訴人古館徳之助本人尋問の結果は採用できない。控訴人は右建物の使用について建物の固定資産税及びその敷地の地代を借主が負担する以上その使用関係は、賃貸借であると主張するけれども、借用建物の固定資産税及びその敷地の地代のようなものは使用物の通常の必要費に過ぎないものというべく、このように建物の借主が建物の通常の必要費を負担するに止まり他に出捐をしない場合は、特段の事情がない限り借主の右負担は賃貸借契約上の賃料には該当しないものというべく、本件においてはかような特段の事情は認めることができないから、右使用関係を通常の賃貸借であるという控訴人の主張は採用できない。

(川喜多 小沢 位野木)

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