東京高等裁判所 昭和33年(ネ)919号 判決
前記(一)、(二)の建物所有者深見利およびその承継人らは、被控訴人が借地権を譲り受けて以来、少しも右各建物の敷地についての転借料を支払はず、被控訴人の再三の請求にも応じないばかりでなく、ついには被控訴人の借地権を否認し、地主に対して直接に賃料を供託するなど被控訴人に対して賃料を支払う意向のないこと表明するに至つたことが認められる。そこで被控訴人は、昭和二十七年十一月二十四日、控訴人健次および同豊に対し、書面をもつて賃料不払を理由として前記(一)、(二)の各建物敷地の転貸借を解除する旨の意思表示を発し、この書面が、同月二十五日控訴人豊に、同月二十六日控訴人健次に到達したことは、当事者間に争がない。而して前認定のように土地の転借人において、長い間賃料の支払をせず、あまつさえ賃借人の借地権を争い、これに対して賃料を支払う意思のないことが明らかな場合には(この点は本件弁論の全趣旨からも十分窺い得られる)、予じめ賃料支払の催告をしなくとも契約を解除し得るものと解するのが相当である。従つて被控訴人と控訴人健次および同豊との間の転貸借関係は、被控訴人の右解除の意思表示によつて終了したものといはなければならない。
(谷本 猪俣 安岡)