東京高等裁判所 昭和33年(ラ)165号 決定 1958年7月14日
抗告人 香川操一(仮名)
主文
本件抗告を却下する。
理由
本件抗告の趣旨及び理由は、別紙のとおりである。
記録によれば、本件調停事件は原裁判所家事審判官○○○○が単独で調停したものであるところ、同家事審判官は昭和三十三年三月十七日午前十時の調停期日に、申立人たる抗告人及び相手方である大原京ともに出頭しなかつたが、さきに同裁判所家庭裁判所調査官名和由紀子を大原京につきなさしめた調査の結果及び昭和三十二年十月十八日の調停期日に自身聴取した同人の陳述並びに仙台家庭裁判所に出張してなした申立人本人たる抗告人審問の結果等を併せ考えた結果、これ以上調停を続行しても当事者間に合意の成立する見込がないものと認め、家事審判官が一人で調停する場合に準用される家事審判規則第一三八条の二に則り、右同日本件調停事件はこれを調停不成立として終了せしめる旨宣言したこと明瞭である。しかし、抗告は裁判所のした決定及び命令に対し法律が特に認めた場合に限りなすことができるものであつて、家庭裁判所の調停事件につき家事審判官がした前記のような措置に対しては抗告は許されないものというべきであるから、本件抗告は不適法として却下すべきものとし、主文のとおり決定する。
(裁判長判事 川喜多正時 判事 小沢文雄 判事 位野木益雄)
(別紙)
抗告理由書
抗告の趣旨
原宣言はこれを取消し本件を東京家庭裁判所に差し戻す、との裁判を求める。
抗告の理由
一、事件本人が遠方で抗告人は貧困で東京家庭裁判所へ当日出頭出来ない旨封書にて予め申立をして居つたので御座居ます。
一、当日事件本人は出頭しないので御座居ます。
一、然るに東京家庭裁判所は軽々しく事件本人の意思も確認しないで調停事件を終了させる旨の宣言をした事には、抗告人は不服であるのでこの抗告をする次第で御座居ます。
一、抗告人は事件本人の再考を求める次第で御座居ます。