東京高等裁判所 昭和33年(ラ)525号 決定
抗告理由の一は、本件不動産競売期日の公告に記載された競売不動産の表示が実際と一致しないことを主張するのであるが、その表示の冒頭にある「一、木造瓦葺平家建倉庫一棟建坪八坪の内」という記載が無意味の誤記入であることは右不動産の表示全体を見れば推知できることであり、記録編綴の登記簿謄本(二八丁から三四丁まで)及び鑑定人の報告書(五三丁及び五四丁)と対照すれば右公告に記載された不動産の表示は登記簿の記載と一致し、鑑定人が実地に調査した結果と比較しても右不動産のうち居宅一棟の建坪についてその同一性を害しない程度の差異があるほかは各建物の主たる構造部分は右公告の記載と一致し、ただこれらの建物にはいずれも若干の卸しがついているためその面積をも加算するときは右公告記載の建坪を超過するけれども、特にこれを表示しないでも必ずしも建物の同一性を認識するに欠ける程度には至らないことが認められる。もとよりこのような場合競売期日の公告には登記簿上の表示のほか建物の実際の状況をも附記することにより建物の識別を容易にするような注意を用いることが望ましいことではあるけれども、すでに右のように本件公告の記載だけでも建物の同一性を認識することができる以上、右公告に目的不動産の表示を欠いたものということはできないので、この点に関する抗告理由は採用できない。
(川喜多 小沢 位野木)