大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(ラ)576号 決定

調停が成立した以上、抗告人は目的建物を所有すると否とにかかわりなく、相手方にたいし、調停条項の定めるところにしたがつて、これを収去すべき義務を負うものであるから、かりに抗告人主張のとおり目的建物が抗告人の所有でなく訴外荒井サタの所有であつたとしても、原裁判所が相手方の申立にたいし本件収去命令を発したのはもとより正当である。しかして、かりに本件建物の権利関係が抗告人の前記主張のとおりであるとするならば、抗告人はこの命令の執行によつてなんらの損害をもこうむらないことあきらかで、つまりのところ抗告人はみずからの権利にもとずかす第三者である前記訴外人の権利をよりどころとして不服を主張するものであるから、抗告人はかような不服を主張するなんらの利益もないのである。

自分の権利に関せず、したがつて自分になんらの利益のない主張をゆるさないのは民事手続における原則である(たとえば民事訴訟法第六七三にあらわれている)。抗告人の主張はそれ自体失当である。

(藤江 谷口 満田)

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