大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(う)1620号 判決

被告人 岡田健次郎

〔抄 録〕

弁護人控訴趣意第一点(法令の適用の誤の主張)について。

原判決が被告人の判示第一乃至第十の所為を認定し、これに対し併合罪の規定を適用した上、併合罪の加重をして被告人を処断したことは所論のとおりである。弁護人は右第一乃至第十の犯行は短期間内に同一の手段方法により行われたものであるから同一意思の継続の下に行われたものであり、従つて併合罪でなく一罪であると主張するが、同一人の同一罪質に属する行為が数個ある場合にその犯罪の個数を定めるには、被害法益及び意思の単複、犯行の日時場所の関係等具体的事情を勘案し、その行為が刑罰法規の定める一定の構成要件を充足する回数によつてこれを決めるのを相当とするところ、本件第一乃至第十の詐欺行為の場合、被告人の犯意が所論のように同一の意思の継続したものであり、又犯行の期間が比較的短かつたとしても、その被害法益については被害者は十人で全く別異であり、犯行の場所も異なり、犯行の時も別の時、別の機会であつて、判示第一乃至第十の行為はその被害者毎に一個の詐欺罪の構成要件を充足しているのであるから犯罪の個数は十個であるというべく、これを一個の詐欺罪の構成要件を充足するものとは到底認められない。又業務上横領罪の場合についての所論は本件の場合に適切でない。所論は要するに刑法併合罪の規定の解釈についての独自の見解を前提として法令の適用の誤を主張するものであつて採用することができない。その他原判決の法令の適用には何等違法をもつて目すべき廉はないから、論旨は理由がない。

(長谷川 白河 関)

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