東京高等裁判所 昭和34年(う)261号 判決
被告人 波多野秀臣
〔抄 録〕
原判決が、被告人に対し、関税法第一一八条により、金一九七、四〇〇円の追徴を命じていること、及び右追徴金額の算定につき、関税一五、三二〇円(控訴趣意書に七千六百六十円とあるは一万五千三百二十円の誤記と認める。)と物品税四六、九六〇円とが加算されていることは、いずれも所論のとおりである。しかるに所論は、右の諸税額は、被告人に対して別個に税関より徴収されるべきものであつて、(現に、被告人は、東京税関長より、昭和三二年一二月一日送達の納税告知書により、右物品税納付方の告知を受けているのであつて、もし、前記追徴金額どおり納付すべきであるとすれば被告人は、理由なく二重に税金を納付すべく強制されることとなり、甚だ不当な結果となるものである。)本件追徴金額には、関税、物品税を加算すべきものではないから、これを加算した原判決には、この点につき法令の適用に誤があつて、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかである旨を主張するにより、考察するに、関税法第一一八条第二項には、「前項の規定により没収すべき犯罪貨物等を没収することができない場合又は同項第二号の規定により犯罪貨物等を没収しない場合においては、その没収することができないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格に相当する金額を犯人から追徴する。」との規定があつて、右にいわゆる「犯罪が行われた時の価格」とは、そのものの犯罪が行われた当時における国内卸売価格をいうと解するのが相当である(東京高等裁判所昭和三二年(う)第六三八号同三二年九月一〇日第六刑事部判決高裁判例集第一〇巻第七号五九三頁以下参照)から同条第二項による追徴金額中には、逋脱関税相当額を加算すべきことは、勿論であつて、その没収しない犯罪貨物が物品税法所定の課税物件であり、物品税法に違反して物品税を免れているものであるときは、その物品税相当額をも加算してその犯罪が行われた時の価格を算定すべきこともまた当然であるといわなければならない。しかして、本件の電気冷蔵庫が物品税法所定の課税物件であり、物品税法に違反して物品税を免れているものであることは、記録上明らかであるから原判決が、被告人に対し、関税法第一一八条第二項による追徴金額を算定するにつき、逋脱関税相当額及び逋脱物品税相当額を加算したことは、適法であつて、原判決には、この点についてもまた所論のような判決に影響を及ぼすべき法令適用の誤があるものということはできない。
(中西 山田 鈴木)