大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(う)2902号 判決

被告人 椎名清

〔抄 録〕

被告人に対する昭和三十四年十月二十四日付起訴にかかる窃盗被告事件についての昭和三十四年十一月十九日付第一回公判調書の記載によれば、被告人椎名清及び同人の弁護人矢代操が出頭した旨及び右被告事件は小原政美に対する昭和三十四年八月十八日付起訴にかかる窃盗被告事件と併合して審理する旨の決定がなされたことが記載されており、一方、右小原政美に対する窃盗被告事件の昭和三十四年十一月十九日付第三回公判調書の記載によれば、被告人椎名清に対する右窃盗事件を併合して審理する旨の決定がなされており、爾後被告人椎名清及び右小原政美に対する窃盗被告事件が併合して審理されるようになつた経路を明らかに認めることができる。また、右第三回公判調書には、特に被告人椎名清及び弁護人矢代操が出頭した旨の記載はないが、右併合審理の決定後において被告人椎名及び弁護人矢代の陳述がなされた旨記載されていることは所論のとおりである。所論は、右第三回公判調書には被告人(椎名)及び弁護人(矢代)が出頭した旨の記載がないのに拘らず、被告人及び弁護人の陳述の要領が記載されているから、右公判調書には法令の違反があり、結局原審の訴訟手続には法令違反があるというのである。よつて按ずるに、元来公判調書に出頭した被告人、弁護人らの氏名を記載すべしというのは、要するに当該事件の被告人、弁護人らが出頭した上で公判手続が行われたか否かを明確にする趣旨に外ならないのであるから、被告人を異にする各被告事件が同一裁判所における同一公判期日において併合決定により爾後併合して審理されるような場合には、被告人及び弁護人が出頭したか否かは、併合決定前の各公判調書に適法に記載されていれば、併合決定後の公判調書に改めてこの点についての記載をしていなくても記録上出頭の有無はおのずから分明であるといえるから敢てこれを違法であると称することはできないものと解するべきである。本件についてこれを見るに、昭和三十四年十一月十九日の公判期日に被告人及び弁護人が出頭していたことは、併合決定前の被告人のみに対する被告事件の公判調書の記載によつて明白であるから、併合決定後においても当然そのまま在廷し併合審理を受けたものであることは疑うことができない筋合であつて、それ故右公判調書の記載をうけた前記第三回公判調書には、併合決定後において改めて被告人及び弁護人が出頭した旨の記載がなくても、同人らが出頭したことは記録上明らかにされているものといわなければならず、従つて被告人及び弁護人が併合決定後の公判において陳述をした旨の記載があるのは固より当然でこの間何ら違法を疑うべき点は存在しないといわなければならない。よつて原審の訴訟手続には法令違反があるとする所論は理由がないというべきである。

(三宅 東 井波)

註 本件は量刑不当で破棄

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