大判例

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東京高等裁判所 昭和34年(う)358号 判決

被告人 上野務

〔抄 録〕

しかし当裁判所は職権を以て調査するに、原判決判示第二の事実は被告人が平野産業株式会社に売却した石炭の代金を受取り、これを自己のために費消したものであることは明らかであるが、記録並びに当審で取り調べた証拠を総合考察すると、右金員は被告人が賭博の資金に充てるため判示第一において認定した如く橋本産業株式会社所有の石炭を正規の手続によらず<特>指図書により擅に自己のため平野産業株式会社に売却した代金の一部(前金として受取つた分を含む)であると認められる。従つてこの分については判示第一において既に石炭の横領罪が成立しているのであるからその代金について更に横領罪が成立する理由はない。然るに右代金は判示第一の石炭代金とは別個のものとし被告人に業務上横領罪の成立を認めた原判決は事実の認定を誤つたもので、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。

(岩田 渡辺 司波)

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